尾崎世界観さんの小説家としての経歴
尾崎さんはミュージシャンでクリープハイプのボーカルをやっていますが、
作家としても芥川賞の候補になるだけの経歴があります。
2016年6月29日、『祐介』という半自伝的小説が発売され、彗星のごとく
小説家デビューをします。
普通は新人賞を経てデビューするのですが、いきなり文芸春秋社から刊行
されていますので、有名人として販売が見込めると思われたでしょうし、
文章力、表現力もあったのでしょう。
そして2020年『母影』(おもかげ)で第164回芥川賞候補となります。
残念ながら受賞はならず、宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』が受賞
しています。
デビューからび4年間は『苦汁100%』『苦汁200%』に書かれたように
コロナでの自粛、コンサート中止などで鬱屈した日々を過ごしています。
しかし、それが小説家として開花させた下積み期間だったのではないか
と推察します。
そして、今回、第171回芥川賞候補として『転の声』がノミネートされています。
4年後に再び候補となっているのは、実力がある証拠と私は思っています。
決して多作ではりませんが、1作1作が、質の高い作品となっていることが
分かります。
芥川賞の歴史とアーティストの受賞者
芥川賞は純文学の小説家なら受賞したいと考えるのが普通なほど、
有名な賞です。
あの太宰治も借金返済のため喉から手が出るほど受賞したかった賞です。
有名なアーティストの受賞は、
1976年上半期:村上龍『限りなく透明に近いブルー』
村上さんは当時24歳4か月で、最年少受賞、この本はベストセラー
になりました。
1988年上半期:新井満『尋ね人の時間』
「千の風になって」のCDで有名ですね。
1996年下半期:辻仁成『海峡の光』
辻さんはミュージシャンですが、中山美穂さんや南果歩さんの元夫、
と言った方が分かりますでしょうか。
2000年上半期:町田康『きれぎれ』
パンクロッカーの町田さんは独特の町田節でユーモアある小説を多く
書いています。
2015年上半期:又吉直樹『火花』
この又吉さんが最も有名(だと思う)で、累計250万部のベストセラー、
芥川賞で最も売れた小説です。
当時書店に山積みになっていたのを思い出します。
※受賞当時の又吉さん
又吉さんは太宰治が大好きです。
もうすぐ6月19日の桜桃忌ですが必ず太宰治の墓参りをしています。
まとめ
芥川賞の選考で2回のノミネートは別に珍しいことではありませんが、
何度も候補になることは、それだけ話題になることですし、
質の高い作品を多く生み出せると受け取れます。
何度も候補になって受賞した方も多く、尾崎さんも今回受賞すると
いいですね。
7月17日に選考会が行われます。
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